戯 文 * |
右顧左眄 上行下効 冬に入る |
ゐかんぜよ 龍馬気取りの 懐手 |
サンタはね パパというんだ ほんとはね |
初寝覚 極上発句 忘れ来し |
ドレミファソ らしき足音 嫁が君 |
雪やこんこ 狐こんこん 今夜来ん |
雪文字や 指の震えの そのままに |
いざ出陣 三廻りほども 着ぶくれて |
セーターに 顔を盗られて 手も出せず |
火が紙を 腐食する冬 手紙焼く |
湯豆腐に 七人の敵 忘れをり |
三寒の グーに四温の チョキパー |
人文字の できて壊れて 春隣 |
うすらひの うすきひかりの うすあをく |
啓蟄や 海の穴より 潜水艦 |
最初はグー ジャンケンポンの 花こぶし |
我いつも 薄志弱行 春炬燵 |
片やオリーブ 此方ポパイや 菠薐草 |
回れ廻れ 風が風呼ぶ 風車 |
わが星を 宇宙へ揚げよ 奴凧 |
ふはふはり ぷるるんぱちん しゃぼんだま |
灘が坂 坂は長坂 花が坂 灘区高尾通 |
途中下車 前途有効 花行脚 |
老いらくの 頭にかざす 春キャベツ |
思はざる(猿) ゐれば四猿 春おぼろ |
ハルシオン てふまやかしに 春眠る |
春眠や 老いては側臥 屈葬位 |
古池や ドレミファソラシ 泥蛙 |
臍曲がり爺に 臍なし蛙かな |
千年の 大樹が万枝 百千鳥 |
鶯の 美糞をつけて 顔美白 |
鬼あざみ 鬼が隠れりゃ 姫あざみ |
一草百花 千紫万紅 花舗の春 |
素寒貧 毒母毒妻 毒苺 |
近似的 左右対称 鉄線花 |
横書きの 日本語が好き 花かぼちゃ |
字余りの 毛虫がぞろり 俳句帳 |
虎尾草は踏みても 虎の尾は踏まず |
黴わきて バイキンマンの ハヒフヘホ |
なめくぢの ぬめりが跡や なにぬねの |
くの字とも への字とも見え 棒振虫 |
生くべき蚊 死すべき蚊みな 蚊なる蚊も |
ぶんぶんぶん かなぶんぶんと 飛びきたる |
#$*%♪ @&\/?!? 大暑来る |
片蔭男に 日蔭の女かな |
裏側を 見せずに爆ずる 揚花火 |
どう見ても 不良老人 サングラス |
大昼寝 活断層を 背ナに敷き |
明日がある 今日はひとまづ 大昼寝 |
三人も 死んで真夏の サスペンス |
臆すなや 冷蔵庫より 死肉塊 |
噺家や 扇閉づれば 箸となる |
風涼し 無にして無限 無尽蔵 |
カナヅチも 入れて満員 プールかな |
水に書く 文は届かず 夏終る |
零一の 無限の連鎖 秋暑し |
貧乏は 金もて買へず ちちろ鳴く |
賽の目は 出たとこ勝負 ちんちろりん |
蛇に足 妻に角あり 蚯蚓鳴く |
青レモン 青春といふ 手榴弾 |
一寸の 目の玉ふたつ 銀河見る |
露の世や 行深般若 波羅蜜多時 |
無位無冠 無病息災 天高し |
ブランドの 服着る案山子 雀来る |
猫じゃらし とも呼ばれゐて 犬子草 |
瞠目刮目瞑目 一夜茸 |
桐の実の 鳴らざる鈴の 鈴なりに |
皮剥ぎて 渋柿どもの 首吊るす |
切腹や 菊に飾られ 血も出でず |
憂きことは 笑ひ飛ばして 実山椒 |