秋  の  蝉  *

            秋…法師蝉 無住寺への 細き道
              無住寺の 庭を鳴き澄む 法師蝉

              鳴くこゑに 酔ひて鳴くなり 法師蝉
              法師蝉 間近に鳴けば 音浄土

              高く鳴き 低く逃げゆく 法師蝉
              法師蝉 鳴きて一拍 逃げ迅し
              法師蝉 鳴くも逃ぐるも 忙しなく

              法師蝉 鳴けば休暇の 終りなる
              つくつくし つくづく思ふ 終の刻


              かなかなや 里びと眠る 朝まだき
              ひぐらしの 鳴きてぞ哀し 隠れ里

              ひぐらしや 暮れゆく森の 小暗がり
              ひぐらしや 村のはづれの 森暗し

              ひぐらしや 夕日沈むも さびしらに
              ひぐらしや ゆきあひの空 夕暮れて

              ひぐらしや 人の命の はかなくて
              かなかなや 心に疼く 響きもち
              かなかなは遠し 心に近く鳴き

              夕暮れて ひぐらし遠く 風に鳴く
              蜩や 暮れそで暮れぬ 兵が墓

              ひぐらしの 暮れゆくまでの 細きこゑ
              ひぐらしや 日暮れて声の 消え細る

              かなかなは かなかなかなと 鳴きにけり
              かなかなは 切れ字大事と 鳴きにけり

              夕ひぐらし 朝かなかなの 有馬宿
              ひぐらしの 鳴くは朝一 夕仕舞
              ひぐらしの 鳴くに強弱 高低音

              ひぐらしや その日暮らしの 一ト日過ぎ
              ひぐらしよ わが身焼かるる ときも鳴け

              夕空に 遠ひぐらしの こゑ残る
              かなななの 鳴きて六甲 黄昏るる


              凡々と 死ぬな生きよと 秋の蝉
              杜の木に とまりてよりの 秋の蝉

              秋蝉や み~んみんみん なにもみん
              時々は 鳴きごゑ絶えて 秋の蝉

              掌にのせて 飛ぶもかなはぬ 秋の蝉
              里山に 一抜け二抜け 秋の蝉

              秋蝉の 切なきほどに 細きこゑ
              妻恋の 声整はず 残る蝉

              薄命の 声のかぎりを 秋の蝉
              秋蝉の 命短し 絶唱す
              秋蝉の 身は細りても 声澄める

              息絶ゆる 際も選べず 蝉の秋
              鳴きながら いのち死にゆく 蝉の秋

              移ろひの 名残りの刻を ちつち蝉
              秋蝉の ことに日暮れの 名残り声

              秋蝉の いまを鳴かねば 時止まる
              秋蝉や 雲はちぎれて 海境へ    俳子

                    ヒグラシ

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