秋 の 蝶  *

        秋…野末より 秋の小蝶の 次々と
          忙しなく 飛びて休まず 小灰蝶
          ひと群の 花を離れず 小灰蝶

          ゆるやかに 秋蝶花に 寄り添ひぬ
          秋の蝶 小さな花を よすがとし

          野の花に 添ひつ離れつ 秋の蝶
          春蝶の 数より多し 秋の蝶

          青虫は 蛹と眠り 蝶と舞ふ

          野にまぎる 蝶の豹紋 里の秋
          秋蝶を 追へば悲しも 野にまぎれ

          王妃名の 花の高さを 秋の蝶
          花々の 高さになれて 秋の蝶

          まれびとの やうに舞ひ降る 秋の蝶 (アサギマダラ)
          秋蝶の 旅にしあれば 淋しらに
          花に寄る 脚細すぎて 秋の蝶
          羽閉ぢて ひよどり花に 憩ふべや
          凪待ちの舟 風待ちの秋の蝶
          風立てば 空恋ふ秋の 蝶となる
          一蝶を 放ちて静か 藤袴
          羽ひろげ 螺旋に昇る 秋の蝶
          風よ吹け 海渡りゆく 秋蝶に
          風呼べば 風も動くか 秋の蝶
          高空の 気流速しか 秋の蝶
          天空の 限りを知らず 秋の蝶
          風をえて 一翔長き 秋の蝶
          天翔けて 秋蝶青き 空となる
          秋蝶に 風の道あり 海渡る
          秋の蝶 海路千里を 飛ぶといふ
          秋蝶や 風飛万里を 越えゆかば

          ビル街に 迷ひこみたる 秋の蝶
          淋しらに 舞ひて消えたる 秋の蝶

          風のごと 烏揚羽は 秋天へ
          うすく飛び ひかりと消ゆる 秋の蝶

          移ろひて 水影となる 秋の蝶
          秋蝶の 影にも色の あるごとく

          逝く秋の 風にあらがふ 蝶ひとつ    俳子
      アサギマダラ   撮影:須磨離宮公園 2016.10.23
         アサギマダラは「旅する蝶」として有名で、
  春から夏にかけて南から北へ、秋になると日本列島を北から南へ移動。
   沖縄や台湾まで飛んだ事例が、マーキングによって確認されている
         (その飛翔距離は2000km以上)。
 アサギマダラが吸蜜している花は、偶然、そこに居合わせたカメラ愛好家によると、
    アサギマダラが最も好むヨツバヒヨドリという花なのだそうですが、
   私的にはフジバカマ(秋の七草のひとつ)なのではないかと思います。

          ヒヨドリバナの蜜を吸うアサギマダラ   於:菊水山
 

                 ヤマトシジミ

               ツマグロヒョウモン

                 ベニシジミ
 

       ミヤマカラスアゲハ(飛びたつ元気がない)   2021.8.29撮影
 
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