空    蝉  *

            夏…土闇を 出でてみ空へ 蝉の旅
              空飛ぶを 夢見しごとく 蝉の殻

              葉の裏に 隠るるやうに 蝉の殻
              空蝉に すがりつくかに 蝉の殻

              空蝉の 背に殻抜けの 裂け目跡
              空蝉の 爪さきだちに 風抜くる

              空蝉の 両眼だけが 生きてをり
              空蝉の 日当たりをれば 琥珀色

              空蝉の 軽ろきを重く てのひらに
              空蝉の 軽ろきに風の 来て止まる

              空蝉の 洞に鎮もる 杜の霊
              空蝉の 洞に吹き入る 風の音

              空蝉のそびら 淋しき風立ちぬ
              脱殻の 洞よりひびく 蝉のこゑ

              空蝉の 空や終りし ものが果て
              Heart isn't in it 君うつせみの 声放つ

              褐色に 夕日の透けて 蝉の殻
              夕暮れて 空蝉なほも 木を掴む

              木に揺れて 風に透けゆく 蝉の殻
              たましひの まだ残るかに 蝉の殻

              空蝉や 生家屋敷に 人住まず
              空蝉を 捨つるほかなき 夕まぐれ

              蝉死する あとも空蝉 葉や枝に   俳子


                ニイニイゼミの脱殻

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