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          春…天空を 横に流れて 春の雷
            あなたなる 空に遊びて 春の雷
            春雷は 天に帰らず 地に落ちず

            春雷や 天地相寄る 一刹那
            春雷や 天地開合 するがごと

            春の雷 もののはじめの 混沌に
            春の雷 おのころ島の 天垂れて

            春雷や 夜は海より 生まれくる
            春雷や 淡路が島を 産み落し

            春雷や 空のほころび 見えそめて
            真夜の空 ひび割るるかに 春の雷

            天変のさきがけ 春の雷激す
            春雷や 地平線まで 舌のばし

            天と地の あはひに迷ふ 春の雷
            零コンマ 一秒ほどの 春の雷

            春雷や 太鼓は打ち手 次第にて
            春の雷 俳句は人を 優しうす

          夏…遠雷は 三木のあたりか 空昏し
            遠雷や 赤みをおびて 音もなく

            遠雷や 酔へそで酔へぬ 昼の酒
            遠雷や 夜空を焦がす 匂ひして

            日雷 へそ出し少女 駈けもせず
            雷鳴の 遠きにひるむ 山の猛者
            山急変 まさかまさかの 日雷

            逃ぐべきか とどまるべきか 日雷
            日雷 摩耶霊峰に 鬼気迫る

            雷雨来る 六甲の山 傾けて
            神さぶる 摩耶が山にや はたた神
            雷鳴や 山の悲慟か 雄叫びか

            はたた神 光る先まで 神となり
            雷光の 切尖深く 大樹へと

            雷が 空もろともに 落ちてくる
            雷光に 一拍置かず 大激震

            落雷に 胸腔六腑 激振す
            怠惰なる 我に一喝 はたた神
            雷激す 遅れて隠す 石頭

            これよりは 天地開闢 雷匂ふ
            あめつちの 交はる刹那 雷光す

            雷光や 闇より浮かぶ 塔一基
            万雷に 頭の芯も 痺れしと

            間近きを 恐れて次の 雷を待つ
            打たれ死ぬ 喜悦に震へ 雷を待つ

            迅雷に 動ぜぬ気概 すぐに失せ
            迅雷の 来たりて過ぎぬ 小半時

            雲上の 宴にぎやか はたた神
            摩耶山の 風もうならす はたた神

            シーサーは 魔除け獣神 海に雷

          秋…稲妻や ぬばたまの闇 ひび割るる
            稲妻や 前触れもなく 闇を裂き

            稲妻や 播磨の灘に 突き刺さる
            稲光る その一瞬を 震へ見る

            稲妻や 妻の背中に ある殺意
            稲妻の 届かぬ先や 闇深し

            稲妻に 驚く君の 声光る
            身ごもりぬ 洞に稲妻 走るとき
            ニューロンの 発光激し 稲光る

          冬…み空より 神の一撃 冬の雷
            ひび割れし 心に響く 冬の雷

            句をなさぬ 十七文字や 冬の雷
            寒雷や 雄ねじ雌ねじの 噛みあはず

            寒雷や 闇夜に光る 避雷針
            寒雷や 天上の昏 きはだたせ

            寒雷や 是々非々なぞと いふなかれ
            寒雷や 嘘を重ねし 人は誰    俳子


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