蓮 の 花  *

        夏…白蓮の蕾や はるか天を指し
          合掌の 蓮の蕾の ふくよかに

          暁光を まとへる蓮や 紅をさす
          朝日影 紅もほのかに 未敷蓮華(みふれんげ)

          蓮開く 秘むるものなき み仏に
          花びらに 釈迦を寝かせて 未敷蓮華

          白蓮や 泥田の匂ふ 朝まだき
          底なしの 泥の中にも 蓮の花

          白蓮や 水天一如 なる池に
          濁り絵の中にや 白き蓮の花

          白蓮の 玉座にほとけ 葉に蛙
          水あぶく あがる泥田の 蓮清し

          寺池の 濁りゆるさず 蓮の花
          み仏の 光宿すか 紅はちす

          白蓮の 花芯近きに 悟りの座
          白蓮の 一花一仏 後光さす
          全開の 蓮の花びら 十六枚

          蓮ひらく 悲しみ深き 時にすら
          折れもせず 曲がりもせずに 蓮田風

          仏座す 蓮の高さに 風渡る
          白蓮に 極楽よりの 余り風

          花蓮に座して 阿弥陀の尊けれ
          ほとけ見し 顔して清し 蓮見客

          紅蓮に 雨粒宿る 朝まだき
          白蓮の 雨はこぼさじ 葉にも受け

          蓮の葉に 揺れ惑ひてや 雨が粒
          蓮池の 河童怪しや 屁の河童

          眠り姫 目覚むるがごと 古代蓮
          古代蓮 ながき眠りを ほどくかに

          若くして 戦死せしとや 蓮の花
          蓮池に 白き花浮く 夕まぐれ

          白蓮の 散りゆく刹那 時とまる    俳子







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