原 爆 忌 ( 6 ) *

          夏…日を恋ひて 日に花こがす 日輪草
            竹林の 影につまづく 夏の果

            夏果てて ロボツト兵が 銃の先
            夏果の 川に魚の 溺死体

            原爆忌 地獄見て来し 貌をして
            色紙を 三角に折る 夏の果

            片蔭の ねぢれて溶けて 爆心地
            一度とて 祈ることなし 原爆忌

            晩夏光 死なば離るる 影背負ひ
            異郷にて ひとりで悼む 原爆忌

            ふるさとを 出づればひとり 原爆忌
            原爆忌 故山へ続く 道遠し

            デラシネの 我を淋しむ 夏の夕
            異郷にて 何もなさざる 原爆忌

            夏空へ 一句一字の つぶて撃つ
            一本の鉛筆 万の愛の夏
            わが草矢 受けてみよやと 句を放つ

            わが背ナの 十字架重き ヒロシマ忌
            忘れむと たつたひとりの 原爆忌

            ヒロシマ忌 こぶしをとけば 五指が手に
            夏空に ひとり静かに 鳩放つ


          春…被爆の子 水かげろふの 中に消え
            かげろひて 水面漂ふ 死者生者
            春闇に ウラングラスの 微発光

            被爆樹も 生きし語り部 木の芽立つ
            被爆樹や 一枝あまさず 芽吹きゐて

            芽立の音 水音風の音 大地の音
            いくさすな 木の芽草の芽 摘み取るな

            生きめやも 芽吹きそめたる 爆心地
            被爆地に とはに芽吹けや 命の樹

            恙なく 春の日あびて 平和浴
            ひこばえや 挫折を超えて 人も生く

          夏…青葉して とはの緑ぞ 蘇れ(原民喜「永遠のみどり」)   俳子


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