猫  の  恋  *

          春…くぐり穴 ぬけて一声 浮かれ猫
            恋猫の 濡れ場修羅場の 路地舞台

            恋猫の きのふの友は けふの敵
            窮すれば 猫もするなり 横恋慕

            脈あるか なきかは知れず 猫の恋
            深浅を 知るはかなはず 猫の恋

            春風の 来たれば尖る 猫の耳
            耳カット されし野良にも 猫の恋

            下町の ボス猫にして 恋が猫
            ふてぶてし 恋猫にして 無宿猫

            ドロ闇に 金色の目の 恋が猫
            吾輩は 恋猫である 名は名無し

            裏路地は 野良の縄張り 猫の恋
            氏素性 しれぬ野良にて 恋が猫

            ボス猫に してわが猫の 恋敵
            よるべなき 猫にも恋の 熱き夜

            恋猫が 尻尾をたてて 塀が上
            門柱に 尿をかけて 恋が猫

            鳴くごとに 恋の近づく 野良が猫
            暁闇に 濁声高き 恋の猫

            行く人に ドヤ貌で鳴く 恋が猫
            恋猫や 獣がごとき 臭ひして

            恋猫の 浮かぬ貌して もらす声
            恋猫の もうなにもかも 上の空

            名を呼べど にあとも鳴かず 恋が猫
            家猫の やつるる恋と なりにけり

            恋猫の 貌に爪掻き 傷が跡
            傷舐めて 地下の暗渠の 浮かれ猫
            チェシャー猫 破恋が果ての 笑み残し

            傷舐めて 恋に破れし 猫となる
            春なのに わが家のぼんは 眠り猫

            情深き ひとや恋猫 撫でもして
            春愁の猫や 日向の横座り

            老いらくや 猫と横たふ 春炬燵
            猫の子や ニャーンと呼べば ニャーと鳴く

            仔猫にも 個体認証 鼻紋様
            蹠球にも 紋はあるかと 仔猫抱く

          夏…夏座敷 猫にとらるる 風の道

          冬…老い猫の 遠き眼差し 冬に入る
            黒猫の 影のひきつる 冬月夜

            極道猫 長き冬毛を 逆立てて
            野良猫の 香箱座り 庭小春

            寒三日月 朔太郎猫 目を病みて
            帰りゆく ところなきかに 寒の猫    俳子



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