鴨 帰 る * 春…古池に 声を落して 雁帰る 鳥曇 池面に残る 女波 雁帰る 無縫の空へ V字行 祝すべし V字描きて 雁帰る 淡海(あはうみ)の 空はみづいろ 鳥帰る 鳥帰る 空をなぞへに よぎりつつ 人界の ひとつ遥かを 雁帰る 鳥帰る 池広ければ 下りもして 帰りなんいざ 雁はみな北を指す 白雲の 流るる方へ 鴨帰る 鳥風や 鳥影はるか 点となる 鳥帰る 眼下に縮む 山や海 鴨帰る 空に遥かな 鳥の道 去りぎはの 影はさびしも 鴨帰る 谷戸百の ありしは昔 鴨帰る (烏原貯水池) 引鶴や 逝きたる人は 帰らざる 池静か 帰雁の群れの 失せしあと 鳥雲に Jアラートの なる地より 国境は あらじかりがね 雲に入る ピザのなき 越境はるか 雁帰る 国境も 地図もなき旅 雁帰る 翼ある ものは空の徒 鴨帰る 鴨帰る こちに和むを 拒むかに かるがると 越ゆる海境 雁帰る 北へ行く 風待ちをりて 雁帰る 雁帰る 空一枚の 彼方へと 雁帰る 雲路が果ての 湿原へ 雁行きて 残りし空や 晴れ渡る 鳥帰る 何も変はらぬ 街残る 雁行きて 水に音なき 夕まぐれ 雁ゆくや 故旧いづこに 伏せおはす 旅に病み 空を恐れて 残り鴨 天の壁 あるやも知れず 残る鴨 病みたるか 病むに添ひしか 残る鴨 残る鴨 連れ呼ぶこゑの 切々と 湖の 鳥入れかはる 彼岸過ぎ 早よ引けや 水の広きに 残る鴨 布引の 池を自在に 春の鴨 行く春に 古沼を去らぬ 真鴨かな 俳子 |
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