春の海/春の波  *

          春…春暁や 出航船の 捨汽笛
            春動く 豪華客船 出航す

            春の海 舟は帆まかせ 風まかせ
            春の帆や 男波女波を したがへて

            平磯の 波に舌あり 春を呑む
            波飛沫 かかるも嬉し 春の磯

            磯の辺の 波が波消す 春の海
            波寄すも 引くも静かに 春の磯

            閑かさや 春の波また 春の波
            三拍に一回 春の波の音

            十五歳 ちょつとブルーな 春の海
            春の海 潮目できたり ほどけたり


            春磯を 岩礁づたひ 波づたひ
            春磯や 波高からず 低からず

            幾そ度 波寄せ来るや 春の海
            春渚 赤きヒールを 両の手に

            弓なりの 浜おだやかに 春の波
            人魚姫 ゐるやもしれず 春の海

            太古より 春の潮香の 匂ふかに
            裏返し 表へ返し 春波に

            春の波 耳奥に残る 子守唄
            春浪や 海よりひびく 子守唄

            春浪や 胎児が浮かぶ 母の海
            春浪や 胎児は母の 海に揺れ

            魚なりし ころのデジャブか 春の浪
            春浪や 原初の記憶 よみがへる

            春浪や アンモナイトの 渦とけて
            巻貝の 渦に寄せてや 春の波

            春磯の 波のまにまの うつせ貝
            波うねる 春のめまひの 続くかに

            人間を 休むひと日や 春の波
            春浪や 醒めざる夢を 見るごとく
            春の海 小舟に寝れば 柩めき

            長久の 母より母へ 春の浪
            転生の 果ては劫初の 春の海


            潮止まり 終りて渦の 激しそむ
            春潮や 時計回りに 渦を巻き

            青と藍 せめぎて白し 潮の渦
            渦の辺を 観潮船の 綱渡り

            春怒涛 岩にとりつく 波がしら
            岩を噛み 岩に砕けて 春怒涛

            海原の 闇裏返す 春怒涛
            春怒涛 漁なき朝も 浜に出て


            松籟の とだえて春の 波の音
            平らかに 寄せては返す 春の波

            蕪村碑や 波が波追ふ 春の海
            須磨浦や をりをり高き 春の波
            春浪や 蕪村が句碑は 海を背に

            春磯や 波高からず 低からず
            春の海 いづこはあれど 須磨の浦

            悲しみの 手より流砂を 春磯に
            啄木忌 手よりこぼるる 砂の綺羅
            春磯の 波に消えたる 三行詩    俳子

              大歳海岸(明石市)

       須磨浦公園内にある与謝蕪村句碑
          春の海 終日のたり のたりかな  蕪村 

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