花    屑  *

          春…うちしきて なほも降りつむ 花の屑
            昃れば 紫がかる 花の屑

            花散りて 大地にかへる 花の精
            産土の 地に降り敷けや 花の屑

            見る時を 選れば選り屑 花の屑
            花屑の 黄ばみて道を 汚しけり

            咲けば散り 散れば花屑 一匁
            箒目に 添ひ残りてや 花の屑

            便箋の 余白に花の 屑ひとつ
            ひとひらの 花屑旅の 鞄より


            やはらかな 川面をゆたり 花筏 (琵琶湖疏水記念館)
            列なして 琵琶湖疎水の 花筏
                           花筏 こぼちて琵琶湖 疎水船
            落花受く 川の流れに 遅速あり

            散れば寄り 寄れば離るる 花筏
            できかけて 崩れてできて 花筏

            でき易く こぼち易きや 花筏
            いざよひつ 早みつ花の 屑流る

            行かないで 流れ早きに 花筏
            添ひたしと 思ふに別れ 花筏

            真すぐには 水は流れず 花筏
            瀬に早み 淵によどみて 花筏

            丸杭の 影の形に 花筏
            花筏 杭の幅だけ つながらず

            無念てふ 重しをのせて 花筏
            取水の 堰に崩るる 花筏

            水淀み 水また流れ 花筏
            行きよどむ 川漂流の 花筏

            花筏流れて 川面の光失す
            花筏流れて 岩を置き去りに

            まぼろしの ひとをものせて 花筏
            花筏 潰える際の 早流れ    俳子

                花 屑

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