2022年 夏 ( 12 ) * |
飛びとびの木々 切れ目なき蝉の声 |
日がな一日 切れ目なき蝉しぐれ |
山寺や 日がな一日 蝉の声 |
降るやうに また湧くやうに 蝉しぐれ |
脱皮せよ 蝉が古殻 脱ぐやうに |
夕蝉や 石積むのみの 墓ひとつ |
蝉穴に 残る霊気の 黒々と |
蝉の穴 地霊の抜けし 跡めきて |
つまみとる 二指に軽ろしや 蝉の殻 |
空蝉を 蒐めて鳴らす 籠の中 |
羽蟻飛ぶ 建付け悪き 俳子庵 |
夏蝶や 風の隙間を ついて来る |
夏の蝶 花にさはらず 香をかかず |
黒揚羽 舞ふを見ている みずら髪 |
青空を見て 夏蝶を見失ふ |
力尽くまでを 燈蛾のご乱心 |
なむあみだ 蠅が手をする 尻をふる |
疎まれて 蠅は天下の 蠅となる |
藪蚊来る 膝を打ちても 策はなし |
藪蚊来る 痩せたるひとの 声避けて |
ががんぼに 触れなば折れて 壊るやも |
ががんぼが死ねば 七節虫しゃしゃり出る ががんぼ(夏)、七節虫(秋) |
穀象の 貌もつ男 穀つぶし |
穀象も 米を食らひて 用無さず |
ごきぶりは厭 にんげんはもつと厭 |
蟻地獄 砂の女の 棲むといふ |
蟻地獄 情にほだされ 墜つるてふ |
蟻地獄 飢えたる時は 砂を噛む |
無慈悲にも 地獄に垂らす 蜘蛛の糸 |
刺青の 女の手より 赤蠍 |
刺青の 男の背より 青大将 |
くちなはや 鼠の叫び 丸呑みに くちなわは蛇の異名。 蛇は朽縄に似ていることから、そう呼ばれている。 口が付いた縄のような生き物の意味からではないらしい。 |
八の字に 水尾引きながら 蛇渡る |
早む瀬を 頭ぬらさず 蛇渡る |
謎多きひとや 白蛇を飼ふといふ |
五尺余や 徹頭徹尾 蛇の衣 |
ぶち切れて 井守のやうに 再生す |
窮しては 蟹の横這ひ 横睨み |
心臓に 手足がはえて 蛸踊る |
魂抜けの くらげ骨なし 漂へり |
かつさばく 鯵のはらわた 我も持つ |
田水沸く 逃ぐる泥鰌の 泥けむり |
石段の 片蔭折れて ひん曲がる |
片蔭を はみ出すおのが 影を踏む |
片蔭男に 日蔭の女かな |
日蔭より 路地に水打つ 放射状 |
打水を 吸ひて裏道 匂ひたつ |
噴水の白き直立 泡の燦 |
噴水や 光の粒を 散らしたる |
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