2022年 春 ( 8 ) * |
浮上せし 刹那や海女の 息爆す |
春磯を 岩礁づたい 波づたい |
春磯の 波高からず 低からず |
人間を 休むひと日や 春の波 |
遠慮なく あがれあがれと 汐まねき |
数珠状に 卵つらねて 蛍烏賊 |
産卵に いのち賭くるか 蛍烏賊 |
新月や 陸に身投げの 蛍烏賊 |
弓形の 砂浜駈けて 浦の春 |
海の香を 背負ひて登る 春の山 旗振山 |
ふるさとは 今もふるさと 水草生ふ |
産卵や 蛙がつむぐ 命の緒 |
列なすも 音に乱るる 蝌蚪の陣 |
にごり絵や 尻尾の揺るる 蝌蚪の国 |
蛙鳴く田あり 農継ぐ人はなし |
蛇出でて ぴんぴんころり 擬死蛙 |
蛙反る 御尤もとは 思へども |
唐突に 水驚かす 蛙かな |
沼池や 蛙逃げこむ 泥けむり |
人は尾を 蛙は臍を 持たざりき |
夕蛙 ひねもす鳴きて 飽きもせず |
亀鳴くや 夜に日が出て 沈まざる |
亀鳴くや 天動説の 使徒となる |
亀なくや 閻魔に舌を 抜かれしと |
蜷の道 のなりくらりの 泥天使 |
春の蝶 ドローヒッチの 結び目に |
蝶結び 解きて花より 春の蝶 |
遥か来て 空に吸はるる 蝶ひとつ |
絵本より 蜜蜂マーヤ 飛び出づる |
蜜蜂の よくぞ集めし 百花蜜 |
春の蚊の 動き嫋やか 放免す |
永き日や 日がな一日 椅子に座し |
永き日の 浅瀬に遊ぶ 兜蟹 |
永き日の象や 数多の糞たれて |
日溜まりを のたりのたりや 春の象 |
猫の子や ニャーンと呼べば ニャーと鳴く |
のどけしや 鼻木を引けば 牛が来る |
のどけしや 猿は尻尾で ぶらさがる |
のどけしや 夕日隠れに 小舟ゆく |
老いぬれば 夢千金の 朝寝かな |
朝寝すと思へば 祖母の大往生 |
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