2022年 春 ( 2 ) * |
死の影を 背負ふ生なり 実朝忌 |
蛇穴を出て 長き身をもてあます |
風を見て いかなご船の 出港す |
沖未明 いかなご船の 波静か |
春暁や 巻き上ぐ網に 魚はねて |
とれたての 鮊子買ひに 明石まで |
谷戸百の ありしは昔 鴨帰る |
鴨帰る こちに和むを 拒むかに |
あはうみ 淡海の 空はみづいろ 鳥帰る |
鳥帰る 何も変はらぬ 街残る |
如月の 十日の月に 都落つ 『勧進帳』より |
きさらぎの 夜更けて闇の あをあをと |
三月の 光を織りて 山動く |
三月や 地球の軋む 音消えず 東日本大震災から11年 |
渋柿の 幹に接木や 芽甘柿 |
くれなゐの 色を濃くして 牡丹の芽 |
くれなゐの 八塩色なる 牡丹の芽 |
朝日子の 光まとふや 牡丹の芽 |
牡丹の芽半寸 すでに花王めく |
芽牡丹に 花王たるべき 志 |
女王の 目覚むるごとく 薔薇芽吹く |
掘割の 水に届かず 柳の目 |
春めくや 大地は草木 そだてそめ |
神々の復活や 土器出づる春 |
壁面の 青竜白虎 春の墳 |
鍵穴を のぞけば春の 古代墳 |
ビードロの 色は七色 春の色 |
教会も 宮殿もなき 島の春 |
妖精や 信ずる者に 春が来る |
いろいろな 色が濃くなる 春ぞ来ぬ |
ドラマティック サイクルロード 駆けて春 つくはら湖 |
駅ピアノ 十指が先に 春はずむ |
春の指 顔を洗ふも 身装ふも |
恋はじめ 胸つきだして 春セーター |
ぶかぶかの 春セーターや 吾子の恋 |
八雲立つ 出雲が春や 君娶る |
連れ添ふる 君が歩幅に 春いくつ |
暖かや もしもしだけの 糸電話 |
暖かや 地蔵の赤き 涎掛け |
こんにちはから さやうならまで 暖かし |
暖かや 湯上りの子の 湯気ほのか |
子を負へば 月なき夜も 暖かし |
耕すや 土の暦日 めくるかに |
耕すや 荒れ地になるを 諾はず |
耕すや 天地返しの 土笑ふ |
牧場を 駈けし羊や 春孕む |
片やオリーブ 此方ポパイや 菠薐草 |
北窓を 開けば背山 柔らかし |
家中の 春の障子を 開けはなつ |
西郷や 花菜明りの 上に灘 西郷は灘五郷のひとつ。 他に、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷がある。 |
月出でて 花菜畑の 西東 |
空海の 跡訪ひたまへ 梅二月 弘法大師 修法の地 |
西行忌 花の地獄に 囚われて |
西行忌 花の奈落へ 墜ちゆける |
天つ日に ゆるびて白し 梅の花 |
白は下に 紅は目上に 観梅会 |
徒長枝を 剪らざるままに 梅の花 |
鶯と 梅の連立 方程式 |
2022年 春(1)へ TOPへ 2022年 春(3)へ |
俳 子 の 俳 句 横 丁 |
2022年…新年・冬1 / 2 / 3 / 4 春1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 夏1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 秋1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 冬1 / 2 |
2021年…俳子の俳句横丁 INDEX 2021 へ 2020年…俳子の俳句横丁 INDEX 2020 へ 2019年…俳子の俳句横丁 INDEX 2019 へ 2018年…俳子の俳句横丁 INDEX 2018 へ 2017年…俳子の俳句横丁 INDEX 2017 へ 2016年…俳子の俳句横丁 INDEX 2016 へ 2015年…俳子の俳句横丁 INDEX 2015 へ 2011年~2014年…俳子の俳句横丁 INDEX 2011~2014 へ 2003年~2010年…俳子の俳句横丁 INDEX 1 へ |