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    2022年 新年・冬 ( 3 )   *  
 せりなづな すずなすずしろ 後言へず
 三遷のはは 校庭の薺摘む
 せりなづな すずなすずしろ 粥が白
 七草の みどり走れり 粥が中
 万両は地を 千両は空を向く
 十両の 値打ちがほどか 藪柑子
 竜の玉 欲望といふ ポケットに
 幼には 切るに切れざる 鏡餅
 ひとり焼く 餅に腹あり 膨れけり
 水餅の 水の濁りに 気の沈み
 水餅や 焼けば膨れて 湯気蒸気
 幸少し 福も少しや 宵戎
 山茶花や 肩をすくめて さやうなら
 山茶花の 散るか散らぬか 夜の道
 腹ペコの ふくら雀が 樹に群れて
 電線の ふくら雀が 風に泣く
 嗚呼ああと 嘆くでないぞ 寒鴉
 白きもの 集めて寒き 田の面かな
 老骨の 髄までしむる 寒さかな
 奥須磨の 雪夜の闇に 翁面 車大歳神社
 漆黒の 空が蓋する 里の冬
 黒革の 手帖はこちと 黒手袋
 難敵と 手袋越しの 握手かな
 手袋が ひょいと動きて 花を摘む
 手を抜けば 手袋の闇 折れ曲がる
 手袋の 右の指先 だけに穴
 吊皮に マスク失語の 五六人
 怪しくも 市内某所に 黒マスク
 マスクして 笑ひ失ふ 人となる
 妻帰る マスクで隠す 内緒ごと
 マスクして 顔半分の 海坊主
 使ひ捨て マスクを捨つる 労働者
 声寒し 不織布越しに 物言へば
 マフラーや 首締むるには 軟すぎて
 マフラーを 振りて応援 マラソン会
 前うしろ 違へてもこり 黒セーター
 外套の その外側の 君を抱く
 吊るされて 革外套の 腑抜けやう
 着ぶくれて 視角百度の 可動域
 身ぶくれの 上に着ぶくれ 老深し
 身ぶくれに 着ぶくれを足す 老盛り
 着ぶくれて 老躯に帯ぶる 静電気
 着ぶくれの 老いは重たし 死は近し

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